就任前夜「あすの日が暮れるころには、国境を閉ざす」そして「トランスジェンダーの狂気を終わらせる」と叫んだドナルド・ジョン・トランプ78歳。この言葉を聞くだけだとショーヴィニズムとパトリオティズムに染められているだけかと思いきや、「TikTokが好きだ」と明言し、禁止令から1日足らずでサービス復帰させるほどユースカルチャーにも影響力を誇る。
いったい何が本当で、これから何が起ころうとしているのか? 以前のトランプが「フェイクニュースだ!」と叫んでいたものは、本当にフェイクだったのか?
新しいトランプ政権を「トランプ2.0」と呼ぶらしいが、そこではいったい何がアップデートされるのだろうか? 化石燃料への回帰? 対中を代表する高関税政策? パッと見る限りあまりワクワクする情報は見つからない。何度も「TIMESが選ぶ百人」に登場し22年には世界一の資産家となったイーロン・マスク氏を側近に迎えたのは何のためなのだろうか?子供たち100人にインタビューすれば誰もが「イーロンのロケットで未来の世界を作ってくれるんだ!」と目をキラキラさせながら答えるだろう。この子供達のためにも、イーロンがそこにいるのは、目先の利益のためではないのだと信じたい。ただ、一瞬にして時価総額一時2.3兆円を超えたトランプ氏のミームコイン$TRUMPが生み出した泡沫の熱狂と儚い夢に翻弄された人たちが私財を投げ入れていく姿を見る限り、生誕110周年記念を迎えた小松崎茂が描くファンシーな未来を眺めている方が、ずっとワクワクしそうだ。
小松崎茂画伯の話ついでにSFの話をすると、最近読破したアンディー・ウィアー氏による『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、やばかった。『インターステラー』以来のリアリティとぶっ飛びの相対論的ミクスチャーの果てに描かれる圧倒的な感動と解決感が、超えてきた。2026年には映画化されるとの朗報があるので、あと2年、少なくともその日までは世界が平和でありますように…。