Spotifyのどらやき

January 18th, 2025 / / /

いまや6億人(国内では約1,300万人)以上が聴いているとも言われる最大級の音楽ストリーミングサービスSpotify。2006年夏にスウェーデン・ストックホルムで創業され、日本でも2016年9月から始まって以来7,000万曲以上に老若男女、それぞれが自分らしいライフスタイルで音楽を楽しんでいる。

そんなSpotifyが日本上陸当初から、僕らはAPIスペシャリストとして様々なプロジェクトに関わってきた。どういう役目かというと、Spotifyには音楽再生を可能にするSDKやSpotifyの機能を活用したサイトを作成できるWeb APIがあり、それを企業のプロモーションや広告戦略に活かしてゆくお手伝いをする仕事である。当初はDeveloperに登録すればそのまま公開できるAPIアプリケーションが作成できたので独自の予約システムから嗜好にマッチしたプレイリストの作成など、かなり自由な実験が繰り広げられていたが、数年前からは、作成したアプリケーションを公開するためには申請が必要な仕様にナーフ化。それでも、これほど便利なAPIを公開しているサービスは少ないので、これまで以上にあっと驚くようなサイトが生まれてくるのは間違いない。

前段が長くなったが、我らの愛すべきSpotify Japanはなぜか「どらやき」が好きなようだ。それも「Spotify」のロゴがしっかりと烙印された、あんこたっぷりのどら焼きである。それも創業120年の老舗赤坂青野総本舗の名品。毎年年初めになると、それが6個も詰め合わされたお年賀として送られてくるからありがたい。安政三年に創業し、大名下屋敷で開かれていたお茶会などで重宝されてきた甘味が、意外な形で愛され続けているのは、不思議なタイムスリップ感がある。

実はどら焼きとSpotifyの数奇な関係に関してはもう一つある。2023年のSUMMER SONICにて「Spotify×なるきよコラボセット(グリーンカラーのスペシャルカクテル“スポティハイ”となるきよ特製どら焼きセット)」ものが提供されたのだ。 ”なるきよ”とは、渋谷にあるミュージシャンたちに愛される路地裏の居酒屋「なるきよ」のこと。もちろんイベント当日は大人気のため完売御礼。この時はENHYPEN、NewJeans、[Alexandros]らの公開収録もあいまって、どらやきを片手に踊り狂う若者たちがひしめき合っていた。このイベント用サイトも僕らが作らせていただいたので、”どら焼きチケット応募フォーム”なるものが膨大なアクセスで大変なことになったのは、いうまでもない。

最後になるが、2024年には「Spotify Advertising Hits 2024」なる賞を受賞した。これは、睡眠改善薬ブランド ドリエルの特設ページとして作らせていただいた「セカイのララバイミュージアム」が認められたということらしい。Spotify JAPAN初期から関わってきた人間として、このような形で認められるのは嬉しいかぎりである。そんなことを考えながらお茶を淹れ、今年も送られてきたお年賀のどらやきを、食べよう。