“血塗られた魔術の儀式”によって母親の命と引き換えに「バスケの才能」を手に入れたマイケル・ジョーダン・ウリリ(Michael Jordan Ulili)。天涯孤独になった彼は、同じく不遇な運命を生きる美しきモーリーンに心を奪われてゆく…。
呪いの力にすがり成功を夢見るも、悪夢から抜け出せない焦燥と絶望。そこから這い上がろうと狂乱する人々の日常。この作品はフィクションではあるが、その姿はフィリピンの若者と社会全体に蔓延している「なにしても無駄」という、今のユースカルチャーを繊細に映像化することに成功している。黒魔術もNBAも全てを飲み込みながら悲劇的な結末へ加速してゆく混沌の124分は、観た人にしかわからない不思議な心地よさがある。
公式サイト:https://ulili.jp/

監督:ティミー・ハーン / Timmy Harn
監督、俳優、アート・ディレクター、脚本、プロデューサーなど多くを務め、国内外多くの映画祭で短編を発表している。 中でも作品「Class Picture」(製作)はトロント国際映画祭(2012)New Waves Program部門で上映され、マニラで開催されるCCP短編映画祭(2011)でBest Experimental Filmを受賞した。映画の他にもLecx StacyをはじめとするMVやCMを多く手掛けている。
初の長編作品「Reptilia in Suburbia」は2013年のCinema One映画祭でがいくつかの賞にノミネートしている。 これまでに日本で上映された作品はRising Indies! in Tokyo(2015)での「Ang pagbabalat ng ahas」 (邦題は「郊外の爬虫類」)、オールピスト東京(2016)での「Cyber Devil X Ahas」など。
【フィルモグラフィー】
Dog Days(2018)/ 監督、脚本、製作
Lily(2016)/ 脚本
Hindi sila tatanda(2014)/ 脚本
Ang pagbabalat ng ahas(2013) / 監督、脚本
Pascalina(2012)/ 製作
Class Picture(2011)/ 製作
Panty (2011、短編) / 監督、脚本、製作
“フィリピン先住民のルーツと旧植民地時代の支配層によってもたらされた文化、大いなる野望を持った人々による約束された地へ。夏の一番暑い日を意味する「Dog Days」は、ハーンがメロドラマ、ドラッグの悪夢、そしてエディプス・コンプレックス的な意味で三菱のギャランを主役に置いた、モノクロで綴られる栄光の記録である。”
– ロッテルダム国際映画祭HPより
“ラヴ・ディアスのスタイルを彷彿とさせるアルバート・バンゾンとジッピー・パスクアによる芸術的なモノクロ。ゆったりとした時間を表現したかと思うと“トリップ”のパートでは登場人物たちの顔を大きくクローズアップし、理性を超えるすれすれの瞬間を連続的に引き起こす ジョン・トレスとマーヴィン・アキノによる編集の魔術。”
– Rotten Tomatoes / Asian Movie Plusより

「ウリリは黒魔術の夢をみた」ポスタービジュアル
「抜け出せない悪夢」にうなされる現代フィリピンのユースカルチャーを、巨匠ラヴ・ディアスを彷彿とさせるモノクロームの映像美で描き上げたオフビートな逸品。世界が注目する唯一無二の新鋭映像作家ティミー・ハーン、日本初公開。
「Dog Days」受賞歴
Famas Awardフィリピン映画芸術科学アカデミー賞(フィリピン、2019)Outstanding Achievement in Directing ノミネート
ロッテルダム国際映画祭(オランダ、2019)Bright Future Main Programme部門 正式出品作品
Across Asia Film Festival(イタリア、2019)正式招待作品
Cinemalaya(フィリピン、2019)Indie Nation部門正式招待作品
The First Reel : Philippine Film Festival in Berlin(ドイツ、2019)正式招待作品
Qcinema International Film Festival/NETPAC賞 (フィリピン、2018) Circle Competition 部門 ・助演男優賞(Marcus Adoro)受賞
Qcinema International Film Festival/Pylon Award (フィリピン、2018)Circle Competition 部門最優秀作品・監督・脚本賞ノミネート
監督:ティミー・ハーン
出演:イヴ・バガディオン、バーバラ・ルアロ、エイドリアン・ヴェルガラ
マーカス・アドロ、カワヤン・デ・ギア、チャールズ・アーロン・サラザール
脚本:ティミー・ハーン、マリヤ・ヴィンチェンテ
製作:ジュール・カタニャグ、ティミー・ハーン、マリヤ・ヴィンチェンテ
撮影:アルバート・バンゾン、ジッピー・パスクア
製作総指揮:フィリス・グランド
美術監督:マイキー・レッド
編集:ジョン・トレス
【2018年 | フィリピン | 124分 | 言語: タガログ語・英語】