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《脚本の魔術師》と 二人の演者が生み出した
フィリピン発都会派新感覚室内劇

タリン・ブラックナイト映画祭
批評家選出部門
最優秀作品賞受賞

2026117日(土) より シアター・イメージフォーラム他にて 全国順次公開

News ニュース

『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』特別先行試写会

解説:石坂健治(東京国際映画祭シニア・プログラマー/日本映画大学教授)
ゲスト:津留崎麻子(サムワンズガーデン)
日時:2025年12月20日(土)
劇場:日本映画大学 新百合ヶ丘校舎 大教室

2026年1月17日(土)にシアター・イメージフォーラム(東京・渋谷)で公開を迎える『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』の特別先行試写会(学生限定)を、 日本映画大学で行いました。 詳しくはこちら

Introduction イントロダクション

稀代のストーリーテラー、ジュン・ロブレス・ラナ の話題作がついに日本上陸!

孤独な文学教授若き作家志望の青年 が、亡き恋人の秘密を巡って繰り広げる、90分間のワンシチュエーション・ノンストップ会話劇 『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』が、日本初公開を迎える。

『ダイ・ビューティフル』 (2016)で東京国際映画祭の2冠を制したジュン・ロブレス・ラナが監督・脚本を手掛けた本作は、発表するやいなや国内外の映画祭で20冠近くに輝き、本国では舞台化も決定している話題作。愛する人との別れ、LGBTQ+、性加害、SNS世代の危うさ など様々なテーマがウィットたっぷりに盛り込まれた洗練されたプロットは、良質の短編小説のごときカタルシスに浸ることができる。

大ヒットドラマ『ゲームボーイズ』で日本でも人気を博した若手演技派イライジャ・カンラスが小悪魔な美青年を、アクションからラブロマンスまで幅広くフィリピン国民に愛されている国民的俳優ロムニック・サルメンタが傷心の紳士教授を演じた。1卓のテーブルのみという超ミニマルなセットを舞台に、目に見えないものも描き出す二人の洒脱な会話劇が幕を開ける。

Story ストーリー

コロナ渦に沈む大都会マニラの老舗レストラン。都会的なBGMを響かせた赤いフォルクスワーゲンが、その前に停まる。 バックミラーで身なりを整える大学教授エリックの心は、高鳴っていた。まだ何も知らないこの時は…。

著名な小説家である恋人マルコスを亡くしたばかりの英文学教授エリックは、教え子のランスと再会の約束をしていた。 喪失感を抱えつつも、自分を慕うランスとの時間を楽しみにしていたエリック。アップルパイとダフトパンクの話題で距離を縮めてゆく二人だったが、マルコスの話をきっかけに空気は一変する。まるで“別人”のように。自分を見つめるランスの瞳の奥から、エリックはマルコスの驚くべき真実を知ることになる…。

Director/Scriptor 監督・脚本

ジュン・ロブレス・ラナ ジュン・ロブレス・ラナ

「愛を理解しようとする2人が、
3人目の登場人物になりきる。

人生において私たちは、
他人に見せたいイメージを投影するために
多くの仮面を被っている。
自分を面白く見せるために嘘をつき、
真実を捻じ曲げる。
自分の利益を守る名目で毒のような言葉を吐く。

私たちの存在の全ては、
虚偽の物語と歪曲された記憶だけで
成り立っているのだろうか?」

ジュン・ロブレス・ラナ
Jun Robles Lana

劇作家、脚本家、プロデューサー、映画監督。脚本デビュー作『SA PUSOD NG DAGAT』(英題「In The Navel of The Sea」| 監督:マリルー・ディアス=アバヤ | 1998)により、フィリピンで最も権威ある文学賞「パランカ賞」の殿堂入りを最年少で果たす。また同作はベルリン国際映画祭パノラマ部門でワールドプレミア上映された。 その後も脚本家としてさまざまな監督と共同し、フィリピン最大のテレビ局GMAネットワークのドラマ担当クリエイティブ・ディレクターに就任。 2012年には『ブワカウ』を製作・監督し、シネマラヤ映画祭のオープニングを飾り、トロント、ニューヨークなどの映画祭で高い評価を受けた。本作は同年の米国アカデミー賞フィリピン代表作品に選ばれ、 香港のアジア映画賞でエディ・ガルシアの最優秀賞を受賞。本作は第25回東京国際映画祭でスペシャルメンションを受けている。その後、『ある理髪師の物語』(2014)は香港、東京、マドリードの映画祭で受賞。ウディネ極東映画祭でフィリピンで初の最優秀女優賞を受賞、また第26回東京国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した。『SHADOW BEHIND THE MOON』(2014)はウラジオストク 国際映画祭で最優秀監督、最優秀女優賞、フィリップス批評家賞、NETPAC ベストアジア映画を受賞、またインドのケララ国際映画祭でも最優秀監督 を受賞。『KALEL,15』はタリンとローマで上映され、特にタリン・ブラックナイト映画祭では最優秀監督賞を受賞。またハーレム国際映画祭でも最優秀男優賞(イライジャ・カンラス)を受賞した。 日本でも劇場公開された『ダイ・ビューティフル』(2016)は東京国際映画祭2016で観客賞と最優秀男優賞のダブル受賞を果たし、インドのケララでも上映。2016年のフィリピン映画で最も興行収入を上げた作品のひとつとなった。 本作『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』はタリン・ブラックナイツ映画祭で批評家賞(Critics Picks Best Film)を受賞し、シドニーのファンタスポルト映画祭でも上映。最新作ではフィリピン初のAmazonオリジナル映画『TEN LITTLE MISTRESSES』を監督している。

主な監督作と受賞歴(抜粋)

  • 『そして大黒柱は...』(2024) ★第20回大阪アジアン映画祭特別注視部門上映
  • 『ビッグ・ナイト』(2022) ★第17回大阪アジアン映画祭 コンペティション部門上映
  • 『Kalel,15』(2022・未) ★第23回タリン・ブラックナイト映画祭 最優秀監督賞受賞
    ハーレム国際映画祭 最優秀男優賞(イライジャ・カンラス)他
  • 『ダイ・ビューティフル』(2016) ★第29回東京国際映画祭 観客賞・最優秀男優賞受賞
  • 『ある理髪師の物語』(2013) ★第26回東京国際映画祭 最優秀女優賞受賞
  • 『ブワカウ』(2012) ★第25回東京国際映画祭 スペシャル・メンション賞受賞

Actors 俳優

イライジャ・カンラス

イライジャ・カンラス(ランスロット役)
Elijah Canlas as "Lancelot"

フィリピンを代表する人気俳優の一人。11歳の時に出演したデビュー作『Sundalong Kanin』(2014)でキャリアをスタートさせる。ジュン・ロブレス・ラナ監督作『Kalel, 15』(2022)の主役に抜擢されて一躍脚光を浴び、ローマのアジア映画祭、Gawad Urian、FAMAS、ハーレム国際映画祭で最優秀男優賞を受賞。また『キー・トゥ・ザ・ハート』(2023 / NETFLIX)など日本公開作品への出演も多く、IdeaFirst CompanyのヒットBLシリーズ『ゲームボーイズ』(2020)は日本をはじめとする世界中で大ヒットを記録。デジタル・プラットフォームにおける彼の魅力を確固たるものにした。 感情に素直な演技で知られる彼は、『Suntok sa Buwan』(2022)や『Senior High』(2023)などのTVドラマ、本作『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』などの映画にも出演し、多才で社会的意識の高いアーティストとしての評価を確立し続けている。

ロムニック・サルメンタ

ロムニック・サルメンタ(エリクソン教授 役)
Romnick Sarmenta as "Professor Ericsson"

50年近いキャリアを持ち、これまで60本以上の映画に出演しているフィリピンのベテラン俳優。4歳の時にクラシックのソープオペラ『Gulong ng Palad』でデビュー。映画デビューした『Pinagbuklod ng Pag-ibig』では、往年の女優ノラ・オノールやビルマ・サントスとの共演など華々しい経歴を持つ。1980年代から一躍有名になり、『ザッツ・エンターテインメント』を始めとするメインストリームのロマンス・コメディ映画に多く出演し、ティーンエイジャーのアイドルとして人気を博した。 1999年にはアジアン・テレビジョン・アワードで最優秀男優賞を受賞し、本作『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』では2023年のサマー・メトロマニラ映画祭と、フィリピンの権威あるGawad Urian批評家賞で最優秀男優賞を受賞。 俳優業にとどまらず、アジア・トリニティー大学の教授としてメディアとコミュニケーションを教えており、その誠実さと、ストーリーテリングと指導の両方に対するコミットメントで知られている。

Comments コメント

青野賢一文筆家/選曲家

エリック(ロムニック・サルメンタ)とランス(イライジャ・カンラス)、 ふたりの対話からそれぞれが見ていたエリックの恋人であるマルコスの姿をあぶり出し、 認識の相違や真実と思っていることの脆さを明らかにしながら、ホラーともいえそうなグロテスクな展開へとなだれ込む本作。その序盤にはダフト・パンクにまつわるエピソードが配置されている。極めて自然に作品とリンクする示唆に富んだ話題を挿入していることにわたしはすっかり感心してしまった。

あんこ映画大好き芸人

セットはレストランのテーブルだけ。登場人物は2人。大掛かりな爆破シーンも、圧倒されるCGもいらない。見事な脚本と俳優という素材を活かしたこの映画に、舌鼓を打つ! 会話の中に潜む真実と偽り、複雑に絡み合うテーマ。小説を読んでいるかのごとくこちらの想像をかきたてる演出にやられた! ダフトパンクで盛り上がっていた2人が、想像もしなかった変貌を遂げる巧みさにも唸る。 レストランで繰り広げられる極上の会話劇のフルコース、とくとご堪能あれ。鑑賞後は余韻のデザートもついてきますよ…!

石坂健治 東京国際映画祭シニア・プログラマー/日本映画大学教授

文学部の教授と学生。男二人の食卓のスモールトークが、やがて心の闇に潜む悪魔的なサイコスリラーへと変貌していく。しかもひたすら静かな会話の往き来だけで。 会話の中には才人ジュン・ロブレス・ラナのいつものテーマーー『ブワカウ』『ダイ・ビューティフル』に続くジェンダー論や、『ある理髪師の物語』を思わせるフィリピン論ーーがしっかりと刻印されている。 フィリピンという場を超えた普遍的な物語だが、実はフィリピンでしかあり得ない物語でもあるという両義性に唸った。加えて、コロナ禍での制作の不自由を逆手にとった舞台設定と構成の見事なこと。 紛れもない傑作!

岩崎う大 かもめんたる / お笑い芸人、脚本家

エンタメとは、根源を辿っていくと他人のことを知りたいという下世話な欲求だと僕は信じている。そして、その最新の地点がこの魅力的な映画であるように思える。この映画で、年の離れた男性二人が繰り広げる会話は、とても現代的で、2020年代でしかあり得ないものだ。その秘密の話を特等席で聞くどころか、余すところなく観られるのは、素晴らしいエンタメ的体験だった。登場人物の二人には申し訳ないけれど。

ケラリーノ・サンドロヴィッチ劇作家・音楽家

2020年に世界に蔓延したウィルスが、落ち付きを見せ始めた頃だろうか。ダフト・パンクは解散しているらしいから、2022年か、23年だろう。 ふたりの主人公が、真っ昼間の、たいして美味そうにないレストランで、延々会話してるだけの映画である。なのにすこぶる面白く、まったく飽きない。 言ってみれば演劇的な設えなのだが、演劇ですら、ここまで物理的な動きを封じたものをやるには、なかなかの勇気がいる。もちろん、心理的な動きは満載で、それが全てと言ってもよい。昔、私がファミレスで仕事をしていた頃、隣席に訳アリの客たちが来ると、店員に頼んで席を移動させてもらったことを思い出した。隣にいると、彼ら彼女らのやりとりに聞き入ってしまい、とても仕事にならないからだ。入店時に気取った関係に見えれば見えるほ ど、虚飾の剥げ具合が面白かった。そんなことを思い出した。

児玉美月映画批評家

この映画の クィアな登場人物たちは皆、表の顔と裏の顔、善と悪が共存した多面的で複雑な人間として造形されている。 それは、これまで映画が構築してきた「模範的なクィア表象」への異議申し立てでもあるのかもしれない。

増田セバスチャンアーティスト

誰でも、隣の人の会話をつい聞いてしまったことはないだろうか? よくよく聞くと、二人は友達以上の関係で、かといって単なる教師と教え子でもなくて、話が良からぬ方向へ展開して……。 それが、聞けば聞くほど「知らなくてもよかった」と思うような会話だったとしても? 言葉のかけ引き。じりじりと八方塞がりに追い込まれる記憶の断片。 果たして、それは最後まで聞いてしまっていいのだろうか?

南Q太漫画家

遠い昔の同級生と当時のことを振り返って話していたら、同じ人物に対する印象が、ふたりのあいだでずいぶんと乖離していて驚いたことがある。 愛するパートナーを亡くした男と、憧れの師を亡くした男、ふたりの会話から浮かび上がる、姿のない第三の男。 この会話劇にはちょっと変わった装置があって、そこがとてもかっこいい。記憶の中の男の姿はくるくると変わる。理解していたはずの、大切な人の姿が思いもかけず変わっていくのはとても恐ろしいことだ。

山本博之京都大学東南アジア地域研究研究所准教授

誰が誰を映し、誰が誰に見られていたのか――その問いを抱えたまま、他の観客と語り合いたくなる。 きっとこの映画は、人生の節目にふと立ち戻るたびに、新しい表情を見せてくれるだろう。 静かに、しかし確かに広がり続ける余韻をもった作品である。

Niki Nikitin PÖFF | タリン ・ブラックナイト映画祭

今年のPÖFFでワールドプレミア上映されたフィリピン映画『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』は、まさに知的で映画的な喜びを与えてくれる作品だ。映画製作のあらゆる技術を結集した、この素晴らしいフィリピンの傑作に敬意を表します。

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