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《脚本の魔術師》と 二人の演者が生み出した
フィリピン発都会派新感覚室内劇

タリン・ブラックナイト映画祭
批評家選出部門
最優秀作品賞受賞

2026117日(土) より シアター・イメージフォーラム他にて 全国順次公開

今年のPÖFFでワールドプレミア上映されたフィリピン映画『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』は、まさに知的で映画的な喜びを与えてくれる作品だ。映画製作のあらゆる技術を結集した、この素晴らしいフィリピンの傑作に敬意を表します。

PÖFF | タリン ・ブラックナイト映画祭 (Niki Nikitin)

Introduction イントロダクション

稀代のストーリーテラー、ジュン・ロブレス・ラナ の話題作がついに日本上陸!

孤独な文学教授若き作家志望の青年 が、亡き恋人の秘密を巡って繰り広げる、90分間のワンシチュエーション・ノンストップ会話劇 『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』が、日本初公開を迎える。

『ダイ・ビューティフル』 (2016)で東京国際映画祭の2冠を制したジュン・ロブレス・ラナが監督・脚本を手掛けた本作は、発表するやいなや国内外の映画祭で20冠近くに輝き、本国では舞台化も決定している話題作。愛する人との別れ、LGBTQ+、性加害、SNS世代の危うさ など様々なテーマがウィットたっぷりに盛り込まれた洗練されたプロットは、良質の短編小説のごときカタルシスに浸ることができる。

大ヒットドラマ『ゲームボーイズ』で日本でも人気を博した若手演技派イライジャ・カンラスが小悪魔な美青年を、アクションからラブロマンスまで幅広くフィリピン国民に愛されている国民的俳優ロムニック・サルメンタが傷心の紳士教授を演じた。1卓のテーブルのみという超ミニマルなセットを舞台に、目に見えないものも描き出す二人の洒脱な会話劇が幕を開ける。

Story ストーリー

コロナ渦に沈む大都会マニラの老舗レストラン。都会的なBGMを響かせた赤いフォルクスワーゲンが、その前に停まる。 バックミラーで身なりを整える大学教授エリックの心は、高鳴っていた。まだ何も知らないこの時は…。

著名な小説家である恋人マルコスを亡くしたばかりのフィリピン文学教授エリックは、教え子のランスと再会の約束をしていた。 喪失感を抱えつつも、自分を慕うランスとの時間を楽しみにしていたエリック。アップルパイとダフトパンクの話題で距離を縮めてゆく二人だったが、マルコスの話をきっかけに空気は一変する。まるで“別人”のように。自分を見つめるランスの瞳の奥から、エリックはマルコスの驚くべき真実を知ることになる…。

Director/Scriptor 監督・脚本

ジュン・ロブレス・ラナ ジュン・ロブレス・ラナ

「愛を理解しようとする2人が、
3人目の登場人物になりきる。

人生において私たちは、
他人に見せたいイメージを投影するために
多くの仮面を被っている。
自分を面白く見せるために嘘をつき、
真実を捻じ曲げる。
自分の利益を守る名目で毒のような言葉を吐く。

私たちの存在の全ては、
虚偽の物語と歪曲された記憶だけで
成り立っているのだろうか?」

ジュン・ロブレス・ラナ
Jun Robles Lana

劇作家、脚本家、プロデューサー、映画監督。脚本デビュー作『SA PUSOD NG DAGAT』(英題「In The Navel of The Sea」| 監督:マリルー・ディアス=アバヤ | 1998)により、フィリピンで最も権威ある文学賞「パランカ賞」の殿堂入りを最年少で果たす。また同作はベルリン国際映画祭パノラマ部門でワールドプレミア上映された。 その後も脚本家としてさまざまな監督と共同し、フィリピン最大のテレビ局GMAネットワークのドラマ担当クリエイティブ・ディレクターに就任。 2012年には『ブワカウ』を製作・監督し、シネマラヤ映画祭のオープニングを飾り、トロント、ニューヨークなどの映画祭で高い評価を受けた。本作は同年の米国アカデミー賞フィリピン代表作品に選ばれ、 香港のアジア映画賞でエディ・ガルシアの最優秀賞を受賞。本作は第25回東京国際映画祭でスペシャルメンションを受けている。その後、『ある理髪師の物語』(2014)は香港、東京、マドリードの映画祭で受賞。ウディネ極東映画祭でフィリピンで初の最優秀女優賞を受賞、また第26回東京国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した。『SHADOW BEHIND THE MOON』(2014)はウラジオストク 国際映画祭で最優秀監督、最優秀女優賞、フィリップス批評家賞、NETPAC ベストアジア映画を受賞、またインドのケララ国際映画祭でも最優秀監督 を受賞。『KALEL,15』はタリンとローマで上映され、特にタリン・ブラックナイト映画祭では最優秀監督賞を受賞。またハーレム国際映画祭でも最優秀男優賞(イライジャ・カンラス)を受賞した。 日本でも劇場公開された『ダイ・ビューティフル』(2016)は東京国際映画祭2016で観客賞と最優秀男優賞のダブル受賞を果たし、インドのケララでも上映。2016年のフィリピン映画で最も興行収入を上げた作品のひとつとなった。 本作『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』はタリン・ブラックナイツ映画祭で批評家賞(Critics Picks Best Film)を受賞し、シドニーのファンタスポルト映画祭でも上映。最新作ではフィリピン初のAmazonオリジナル映画『TEN LITTLE MISTRESSES』を監督している。

主な監督作と受賞歴(抜粋)

  • 『そして大黒柱は...』(2024) ★第20回大阪アジアン映画祭特別注視部門上映
  • 『ビッグ・ナイト』(2022) ★第17回大阪アジアン映画祭 コンペティション部門上映
  • 『Kalel,15』(2022・未) ★第23回タリン・ブラックナイト映画祭 最優秀監督賞受賞
    ハーレム国際映画祭 最優秀男優賞(イライジャ・カンラス)他
  • 『ダイ・ビューティフル』(2016) ★第29回東京国際映画祭 観客賞・最優秀男優賞受賞
  • 『ある理髪師の物語』(2013) ★第26回東京国際映画祭 最優秀女優賞受賞
  • 『ブワカウ』(2012) ★第25回東京国際映画祭 スペシャル・メンション賞受賞

Actors 俳優

イライジャ・カンラス

イライジャ・カンラス(ランスロット役)
Elijah Canlas as "Lancelot"

フィリピンを代表する人気俳優の一人。11歳の時に出演したデビュー作『Sundalong Kanin』(2014)でキャリアをスタートさせる。ジュン・ロブレス・ラナ監督作『Kalel, 15』(2022)の主役に抜擢されて一躍脚光を浴び、ローマのアジア映画祭、Gawad Urian、FAMAS、ハーレム国際映画祭で最優秀男優賞を受賞。また『キー・トゥ・ザ・ハート』(2023 / NETFLIX)など日本公開作品への出演も多く、IdeaFirst CompanyのヒットBLシリーズ『ゲームボーイズ』(2020)は日本をはじめとする世界中で大ヒットを記録。デジタル・プラットフォームにおける彼の魅力を確固たるものにした。 感情に素直な演技で知られる彼は、『Suntok sa Buwan』(2022)や『Senior High』(2023)などのTVドラマ、本作『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』などの映画にも出演し、多才で社会的意識の高いアーティストとしての評価を確立し続けている。

ロムニック・サルメンタ

ロムニック・サルメンタ(エリクソン教授 役)
Romnick Sarmenta as "Professor Ericsson"

50年近いキャリアを持ち、これまで60本以上の映画に出演しているフィリピンのベテラン俳優。4歳の時にクラシックのソープオペラ『Gulong ng Palad』でデビュー。映画デビューした『Pinagbuklod ng Pag-ibig』では、往年の女優ノラ・オノールやビルマ・サントスとの共演など華々しい経歴を持つ。1980年代から一躍有名になり、『ザッツ・エンターテインメント』を始めとするメインストリームのロマンス・コメディ映画に多く出演し、ティーンエイジャーのアイドルとして人気を博した。 1999年にはアジアン・テレビジョン・アワードで最優秀男優賞を受賞し、本作『アバウトアス・バット・ノット・アバウトアス』では2023年のサマー・メトロマニラ映画祭と、フィリピンの権威あるGawad Urian批評家賞で最優秀男優賞を受賞。 俳優業にとどまらず、アジア・トリニティー大学の教授としてメディアとコミュニケーションを教えており、その誠実さと、ストーリーテリングと指導の両方に対するコミットメントで知られている。