text by Asako Tsurusaki

デジタルが主流となっている現在の写真界で、自分の手を使って制作することにこだわり続けている上海のアーティスト、マー・リャン。上海大学美术学院でグラフィック科を卒業し、大手外資系広告代理店でCMのアートディレクターを務めた後、2004年よりアーティストとして現在のキャリアを開始。伝統的な中国美と瑞々しい現代的表現、そして強い物語性が混在した彼の作品は、中国のみならずアメリカやスペイン、フランスやシンガポールほか世界的に多くの人達を魅了し続けている。「私は作品の中で”不条理”を表現しています。全てのカルチャーがミックスされ、過去の社会秩序は覆され、インターネットは新しいルールを作っている…。そんな馬鹿げた世界に住んでいる自分の中のナーバスと混乱が私の表現になっているのです」。 そんな彼が昨年、スタジオに改造した車で中国各地を巡ってその土地の人達を撮影するという半年以上かけたプロジェクト「Studio Mobile」より帰還した。セットや背景の製作、衣装や小道具の手配、トラックのリフォーム、国中のロケーションのアレンジや現地の人たちとのコミュニケーションなど準備には7ヶ月を要したという。

「これまでの生活を顧みて、自分の作品と生活が”象牙の塔”の様に他人と断絶している様に感じていました。それで、自分のクリエイティヴィティとパッションを使って人の為に何かを作りたいいう欲求が生まれたんです。私のアートによって、幸せでポジティブな気持ちになる行為をプロジェクトの参加者と共有すること。それが本当に私が実現したいことだったのです」。マー・リャンの”スタジオ”で作られたその作品は、その都度中国のSNSであるWeiboにアップされていった。参加した人達はそのほぼ80%がWeiboでマー・リャンにメッセージをくれた初対面の人達。各地の色んな親子や恋人、友達などが物語の主人公を演じ、マー・リャンの一部となっていった。「私はWeiboで、彼らにどんなシチュエーションで撮られたいかを聞いて、吟味しながらいい作品を撮ろうとしました。参加してくれた皆さんは私の”プレゼント”を受け取ってくれました。そして私は実に多くのストーリーを得ることが出来たと思います」。
この愛に溢れる旅はまもなく、ロンドンで再度敢行される予定だ。[/col_third] [col_third_last] 「顔やライフスタイルが違っても、同じ人間である以上、同じパッションを持っています。このシリーズは人とのフィーリング、愛、友情、喜びの結晶なんです」。そう語るマー・リャン。またこのプロジェクトの旅路に関する書籍を7月頃には中国で出版予定、詩や音楽を使ってインターネットで人々を巻き込む2年の長期プロジェクト”soul game”、そして自伝についても準備中だという。いつか日本にも来てもらいたい、そう思う人は多いのではないだろうか。


スクリーンショット 2015-07-17 13.20.28

MALEONN MA:
1972年上海に生まれ。SHANGHAI HUASHAN ART SCHOOL、ATTACHED HIGH SCHOOL TO FINE ART COLLEGE OF SHANGHAI UNIVERSITY、FINE ART COLLEGE OF SHANGHAI UNIVERSITY でグラフィック・デザインを学ぶ。卒業後は広告代理店でアート・ディレクター/監督として勤め、2004年にアーティストとしての道に転向。以降は上海のスタジオを拠点に、独自のアートワークを製作し続けている。
HTTP://WWW.MALEONN.COM